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報告書刊行! 『21世紀の工芸を考える 大阪芸術大学藝術研究所研究計画の成果から』
21世紀の工芸、その可能性と問題点■ 福本繁樹 モダニズムと工芸■ 藤森照信/北澤憲昭/佐野敬彦/山口道夫 グローバリズムと土着性■ 與那嶺一子/小林純子/松原龍一/今井陽子/柳原睦夫 想いのカタチを青白磁に託して■ 深見陶治/福本繁樹 大阪芸術大学藝術研究所研究計画活動概要■ 柳原睦夫/西脇友一/佐野敬彦/藪 亨/ 田中敏雄/山口道夫/平金有一/人見政次/櫻井忠彦/伊藤 隆/福本繁樹/梅田幸男/ 佐々田美雪/小野山和代/南 和伸/奥田右一/田嶋悦子/南野 馨/東野真紀/加賀城健
著者・発行者/工芸教育研究会(大阪芸術大学内) 〒585-8555 大阪府南河内郡河南町東山469 大阪芸術大学内 A4判 総56頁、発行日/平成15年3月13日、 録音起稿/京都通信社、編集・印刷/求龍堂、非売
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工芸教育研究会
これまでの活動概要 (2003年3月更新)
当研究計画は、21世紀における「工芸」と「工芸教育」の実体についての調査研究とともに、21世紀の工芸理念の研究をすすめようとする活動の一環である。その具体的な方法として「セッション」の企画開催を中心に活動をすすめてきた。「セッション」(session 、会期、集まり、集団活動の意)企画の状況設定には、一定のこだわりをもって、十分に趣向をこらすことを心掛けた。それにはまず、各研究目的とともに開催地を特定して、その地に全員で足を運ぶということである。実物(作品)に直接触れたい、生きている文化に触れたい、臨場感とともに考えたいと、「現地」にこだわった。このことによって現地の空気とともに、最新情報、専門家や当事者の説明や声に触れることができる。また、参加者全員が一定期間、同一環境に拘束されることによって、共通の問題意識をもって意見交換に集中できるという利点も得た。そして、セッションのパネリストを複数設定して、できるだけ簡潔に研究発表や意見交換をおこなってもらうように依頼した。研究会を、パネリストから既発表の知識を一方的に供与していただくだけの場に終わらせることなく、つねにあらたな問題を掘り起こし、それについて共同で考えていただくということを企図したからである。その結果、あらかじめ提示した議題と、意外な顔合わせ、異なった専門分野からの意見、開催地で見聞する文化によって惹起する問題意識などがあいまって、効果的に議論を深めることができた。
大阪芸術大学藝術研究所研究計画「高等研究教育機関における工芸の創作・教育の現状とそのあり方」
研究期間: 平成9〜11年度 3年間
学内共同研究者 : 藪 亨(代表)、柳原睦夫、平金有一、櫻井忠彦、伊藤 隆、人見政次、福本繁樹(研究ディレクター)、梅田幸男、佐々田美雪、小野山和代、南 和伸、奥田右一、田嶋悦子、山口道夫 (研究助言者)
平成9〜11年度の研究計画では、その研究目的として、1)大学の危機への対応、2)工芸の創作・教育のためのシステム研究、3)工芸の創作・教育ニ対して時代が要求するものを探る、4)実際的問題の打開策検討、以上の4項目をかかげて発足した。山積する研究課題に対して、まず設問を明文化し、視野をひろげることをめざした。芸術大学関係の資料を国際規模で収集したり、他機関と交流をすすめ、研究助言者を招いた講演会、セッション、研究会を中心に活動をすすめた。なかでも複数の研究者を集めたセッションでの意見交換が、今日的な問題を探るのにより効果的だった。
1)講演会開催
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2)懇談会、記録、投稿など
講演会の後、共同研究員により講師との懇談会を開催した。講演会との連動で、さらに議論の内容を高めることができた。おもに講演内容と、われわれの身近な、工芸創作の実際的問題や、工芸教育の問題につなげるようにつとめた。また録音、ビデオ撮り、録音テープの起稿、その校正をすすめた。それ以外に共同研究員のみで、研究会を開催した。講演会や懇談会の内容を録音、ビデオ撮影、写真撮影などにより記録した。また録音テープの起稿と、その原稿の校正をすすめた。その記録の一端を出版物に投稿
●「鼎談・大学と工芸」 『PORTFOLIO
采/綴 大阪芸術大学大学院芸術制作研究科 工芸 1998-1999』
1999年3月20日 大阪芸術大学発行
●「セッション・大学と工芸 ─『装飾』をめぐって」
『PORTFOLIO 采/綴 大阪芸術大学 染織
1999-2000』 2000年3月22日 大阪芸術大学発行

特別講演会「テクスチャー感覚」の後の懇談会
講師:鷲田清一(大阪大学文学部教授)をかこんで 平成9年7月7日
3)美術館や研究機関の取材・訪問、研究者との交流
●牟礼 イサム・ノグチ庭園美術館 見学(平成10年11月7日)
●香川県直島 文化村ベネッセハウス 見学(平成10年11月7〜8日)
●岡山県立大学 訪問(平成10年11月8日)
●金沢美術工芸大学 訪問、教員との懇談(平成11年2月3日)
●金沢卯辰山工芸工房 訪問(平成11年2月4日)
●金沢市民芸術村 訪問(平成11年2月4日)

金子賢治(東京国立近代美術館工芸課主任研究官)講演会「現代工芸の新世代」の後で
香川県直島文化村ベネッセハウスにて 平成10年11月7〜8日
4)資料収集
国内外の芸術系大学の「大学案内」「入学案内」「卒展カタログ」などを収集するため、とくに芸術系大学の多い日米英の三国の各大学に依頼状を発送。国内では『美術手帳』増刊号「アート・スクール・ガイド 1996 」に掲載された約190の大学へ、アメリカは『Directory of MFA Programs in the Visual Arts』(by College Art Association 初版1992,改訂版1996) 掲載の198大学へ、イギリスは『A Guide to First Degree and Post Graduate Courses in Fashion and Textile Design 』(by Association of Degree Courses in Fashion and Textile Design)掲載の40大学へ連絡をとった。結果、海外の約70大学、国内約100大学の資料を収集する。他にも大学問題の文献、個人作家のカタログなどの資料も収集
大阪芸術大学藝術研究所研究計画「現代社会における工芸の実作と教育の現場」
研究期間: 平成12〜14年度 3年間
学内共同研究者 : 柳原睦夫(研究ディレクター)、西脇友一、佐野敬彦、田中敏雄、山口道夫、平金有一、人見政次、櫻井忠彦、伊藤 隆、藪 亨、福本繁樹、梅田幸男、佐々田美雪、小野山和代、南 和伸、奥田右一、田嶋悦子 (南野 馨、東野真紀、加賀城健)
平成12〜14年度の研究計画では、各年度ごとに視点や論点を変え、3年間の活動を、より多角的、総合的なものとするようにつとめた。初年度は、創作活動の第一線で活動する実作者を中心に現代に目を向け、次年度は、理論の研究者を中心に、古代を視野に入れるべく「縄文時代」に焦点をあて、最終年度は、地域性をとりあげた。3年間にわたる研究計画の議題は、時間軸において「現代」「縄文時代」「モダニズム」に、空間軸において「日本と西洋」「土着性」に収斂した。とくに「現代」と「縄文時代」をとりあげる過程で「モダニズム」が大きな関心事になった。それは、明治時代以降の西洋文化の流入や近代主義によって、日本の伝統的な芸術構造が大きく変容したが、それが今日の状況を決定する大きな要因になっているので、その部分を改めて再検証してみるべきだとの考えが示されたからである。また、現代に先鋭化する国際化、情報化の動きをとらえるには、地域性、土着性といった空間軸をとりあげるべきだとの考えもでてきた。それは、3年間のあいだに全国を精力的に移動しての研究活動に、土着性を感覚的にとらえる機会がメンバーに与えられたことも原因しているかも知れない。3年間の研究活動によって信楽、長浜、京都、青森、三方五湖、天竜、那覇へと足跡を残した。セッションでは、設定したテーマに従って、単純な議論が展開されるわけではなかった。縄文文化をテーマとするセッションでは佐藤道信氏の発言によってモダニズムへの関心に導かれたし、モダニズムをテーマとするセッションでは藤森照信氏によって示された国籍不明の建築によって土着性について考えさせられた、といった具合で、各セッションで多様な問題が錯綜して展開した。そのなかで、既成の芸術体系や価値観を疑うところから、さまざまな問題も提示された。
1)講演会・セッション・懇談会などの開催
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パネリスト |
佐藤道信(日本美術史、東京芸術大学) |
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第1部 展覧会報告 |
「今年の工芸展の動向」 福本繁樹(染色、大阪芸術大学) |
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「糸と針のアート展」 小野山和代(染織、大阪芸術大学) |
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第2部 講演 |
「大学と工芸」(美術館学芸員の立場から) 中井康之(国立国際美術館学芸員) |
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西宮市大谷記念美術館から国立国際美術館へと、美術館で現代美術を中心に学芸活動を続けてきた氏から、工芸世界への視野を伺う。 |
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パネリスト |
藤森照信(建築史、東京大学) |
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パネリスト |
與那嶺一子(沖縄工芸・沖縄県立博物館) |
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2)懇談会、記録、投稿など
講演会の後、共同研究員により講師との懇談会を開催した。講演会との連動で、さらに議論の内容を高めることができた。おもに講演内容と、われわれの身近な、工芸創作の実際的問題や、工芸教育の問題につなげるようにつとめた。また録音、ビデオ撮り、録音テープの起稿、その校正をすすめた。それ以外に共同研究員のみで、研究会を開催した。講演会や懇談会の内容を録音、ビデオ撮影、写真撮影などにより記録した。また録音テープの起稿と、その原稿の校正をすすめた。その記録の一端を出版物に投稿
●「セッション 大学と工芸─創作現場における『発見』」 『PORTFOLIO 采/綴 大阪芸術大学 染織 2000-2001』 (2001年3月22日 大阪芸術大学発行)
●公開講座「縄文と工芸」 『PORTFOLIO 采/綴 大阪芸術大学 染織 2001-2002』 P.88〜99に記録掲載(2002年3月22日 大阪芸術大学発行)
概要
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基調講演: 縄文時代と工芸 小山 修三(国立民族学博物館 民族学・考古学) |
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アボリジニから見た美術・工芸 |
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20年にわたる、オーストラリア・アボリジニの社会のフィールド調査から、アート (美術)とクラフト(工芸)の区別について。 |
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縄文土器について |
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日本の考古学の水準は世界的にも評価が高く、その研究は伝統的に土器の様式論に 集中。 |
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デザイン工房 |
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土器は渦巻文だとか波状文だとか、デザインによって地域性がみられる、これは一 種のファッションで、ファッションのメカニズムが一つあるんじゃないか。縄文時 代にはデザイン・ハウスのような、流行の中心をつくるような場所があって、その ファッションを牛耳るという現象があったんじゃないか。 |
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三内丸山芸大 |
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縄文時代の研究は三内丸山を中心にいま、飛躍的に進展している。いまから1万 2000年とか1万3000年前の草創期に、すでに完成された土器が現れている。その 完成度は中国から新しい技術、須恵器が入るまで変わらなかった。彼らは決して貧 しい野蛮人ではなく、豊かなものと心を持った人だったことがわかってきた。 |
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研究発表:ニューギニアの土器の例から 福本繁樹(大阪芸術大学 染色・民族藝術学) |
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かつてニューギニアなどの土器村にフィールド調査を繰り返して、『精霊と土と炎 南太平洋の土器』を出版した実績から、縄文土器の復元研究についての考えを述べ る。手で考える職人と、頭で考える学者の違い、粘土の選定と調整の重要性、とり わけ文様の世界が人々のこころをつかむ鍵になることなど。 |
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セッション: 縄文遺跡にて「大学と工芸」を考える |
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パネリスト |
佐藤道信(東京芸術大学 日本美術史) |
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4名によるトークセッション。詳細は上記出版物に掲載。 |
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セッション: 縄文遺跡にて「大学と工芸」を考える |
3)美術館や研究機関の取材・訪問、研究者との交流
●滋賀県陶芸の森研修館の研究員・指導員との交流と、施設見学(平成12年8月19日)
●「信楽の陶芸展」(信楽陶芸の森陶芸館)観賞(平成12年8月19日)
●「オリエントの秘宝・帰国展」(MIHOミュージアム)観賞(平成12年8月20日)
●長浜曳山博物館見学、長浜曳山博物館学芸員・秀平文忠氏館内案内、展示解説。財団法人長浜曳山文化協会理事・中井博氏や、長浜曳山博物館学芸員・秀平文忠氏と懇談(平成12年11月11日)
●三内丸山遺跡の研究員・指導員との交流と、施設見学(平成13年6月30日)
●青森県立郷土館見学(平成13年7月1日)
●弘前城趾見学(平成13年7月1日)
●弘前市立博物館見学(平成13年7月1日)
●鳥浜貝塚公園、三方町縄文博物館の研究員・指導員との交流と、施設見学(平成13年11月21日)
●秋野不矩美術館見学、美術館設計者藤森照信氏の解説により施設見学(平成14年6月29日)
●芹沢
介美術館見学(平成14年6月30日)
●資生堂美術館見学(平成14年6月30日)
●「琉球王朝の華」展観賞。浦添博物館の研究員との交流と、施設見学(平成14年11月1日)
●城間紅型工房訪問。城間栄順氏夫人の解説で作業工程見学(平成14年11月1日)
●大宜味村立芭蕉布会館、芭蕉布織物工房(喜如嘉)訪問。重要無形文化財保持者平良敏子氏の解説で作業工程と施設見学(平成14年11月2日)
●国営沖縄記念公園・美ら海水族館見学(平成14年11月2日)
●沖縄県立芸術大学工芸学科訪問。長尾紀壽教授の解説で学内施設や授業内容見学(平成14年11月3日)
●沖縄県立博物館。学芸員の與那嶺一子の解説で館内見学(平成14年11月3日)
●読谷村立美術館見学(平成14年11月4日)
●読谷やちむんの里、北窯、宙吹きガラス工房虹訪問。従業者の解説で施設、作業工程見学(平成14年11月4日)
●佐喜眞美術館訪問(平成14年11月4日)
●琉球漆器糸満店、琉球ガラス村、琉球の館訪問(平成14年11月4日)
●高知県立美術館「柳原睦夫と現代陶芸の尖鋭たち」展オープニング参加(平成15年3月2日)
●高知県立牧野植物園訪問(平成15年3月2日)
MIHOミュージアム見学。中川幸夫先生と共に 平成12年8月20日
三内丸山遺跡見学 平成13年6月30日
秋野不矩美術館見学、美術館設計者:藤森照信氏とともに 平成14年6月29日
秋野不矩美術館見学、美術館設計者:藤森照信氏の解説を聞く 平成14年6月29日
芭蕉布織物工房訪問。平良敏子氏の解説で作業工程と施設見学 平成14年11月2日
4)研究成果の編集、出版
平成12〜14年度 大阪芸術大学藝術研究所研究計画「現代社会における工芸の実作と教育の現場」の活動成果を『21世紀の工芸を考える 大阪芸術大学藝術研究所研究計画の成果から』として出版。A4判 総56頁、発行日/平成15年3月13日、 録音起稿/京都通信社、編集・印刷/求龍堂、非売。
5)その他、研究課題に関連する資料収集、文献研究、国際交流など、多方面に活動
平成9〜14年における6年間の研究活動の反省から
大阪芸術大学制作研究科設立の趣旨に「理論と実作の連動」が謳われている。芸術大学として、研究機関として、またわれわれ教員にとっても、おおいに賛同できる趣旨である。しかし実際的な運用については困難もある。とくに「創作」という独自性にとりくむ実作者の研究活動は、個人的な実践による孤独な仕事が中心となるため、大学の機構のなかで「共同」で研究活動をする目的が限られる。実作者が理論家のような論理的な研究成果を求めても限界があり、特殊な研究目的を設定すれば、付帯的、余技的な研究計画となりかねない。その点「セッション」設定を中心とした当研究計画の方法は、「理論と実作の連動」の趣旨からも有効に機能して、きわめて意義深い成果をあげ、参加者一同も年々熱がこもり、盛り上がったものとなった。
工芸学科を中心とした、実作を旨とする当研究計画は、講演会やセッション主催、取材、研修、交流などの実践を目的とするため、成果が目に見える形として残りにくいが、一方では社会的な形で成果を示すべく、セッション記録の起稿を心掛けてきた。貴重な意見交換の成果を密室にとじこめるべきではないと考えたからである。原稿は、単なる記録ではなく、一般対象の読み物として自立できるものにするため、パネリストには、問題提起の発言をわかりやすく要約していただくこと、起稿原稿は、当日の発言の有無にかかわらず存分に加筆校正していただくこと、最低「再校」までお願いすることなどを、予め承知いただき、記録原稿作成作業にとりくんだ。原稿用紙相手ではなく、パネリストが互いに顔をあわせて発言する会話文は、分かりやすく、興味深く、おおきな収穫となった。その成果としてすでに起稿原稿4編を平成10〜13年度刊行の『PORTFOLIO 采/綴 AYA/TOJI』に寄稿したが、さらに平成14年度末に刊行した成果報告書『21世紀の工芸を考える』にも3編を掲載することができた。
当研究計画は、まとまった理論の構築よりも、創作のうえでのあらたな問題点を掘り起こすことを目的としてきた。その点においては大きな成果をあげることができた。だがそのために、あらたな研究課題がふえる一方という皮肉な状況におかれることにもなった。今後ますますこの研究計画が発展することをのぞむ所以である。
大阪芸術大学の「染織」を中心とする特別プロジェクト
特色ある教育研究の推進(平成13年度より「高等教育研究改革推進」)
「芸術の発表・表現とその社会的実践」
事業推進計画期間: 平成10〜13年度 4年間
活動の詳細については、当ホームページ掲載の『PORTFOLIO 采/綴 AYA/TOJI』出版紹介欄参照