精霊と土と炎─南太平洋の土器─』

東京美術 1994年 (A4判、全96頁、南太平洋の土器と土器村の様子を解説。南太平洋の土器文化、土器の造形、土器村をたずねて、土器村一覧表など) デザイン・構成: 石浜寿根、レイアウト: WAYBLE、出版助成: 学校法人塚本学院

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書評 BOOK REVIEW

本書は十数回、のべ日数で2年余をかけた土器村探査行から生まれている。原始的な造形や文様のおもしろさと同時に、人類学的興味を大いにそそられる。写真多数。
美術新刊 『日本美術工芸』 1995年2月号 (抜粋)

たび重なる現地調査の経験と実作者としての価値観から、各々の村における土器の存在感と制作方法が、皮膚感覚をもったソフトな眼差しで取材、記述されている。また、土器とともに、それを取り巻く村人の表情豊かな写真が豊富なことも、本書を興味深いものにしている。
ART BOOKS 気になる本 美術書 『月刊美術』 1995年1月号 (抜粋)

 考古学は土器に立脚する一面をもつ。実に詳細な文様、器形の分析や変遷の後付けが論文として次々と研究誌を飾る。息のつまる思いに清涼な一風が吹いた。福本繁樹氏の「精霊と土と炎と-南大平洋の土器」がそれである。土器をつくる人と生まれ出る土器の交感を描いて余りある、すばらしい一冊である。考古学がこの書から、掲げられた図版から何を得るか、実に楽しい夢が描けそう。
水野正好(考古学) 1994年読書アンケート 『みすず』406 1995年1月 

 染色家で、南太平洋美術に大きな関心を寄せている筆者が、特に土器に魅かれる理由の一つは、水と火の違いはあるものの、仕上げ段階で化学変化の工程を経る点で、「染めものは、織ものよりも焼きものに似ている」からだという。約25年の年月にわたり、南太平洋、パプア・ニューギニア、ソロモン諸島を中心とするメラネシアの島々に点在する土器村を筆者が実地調査し、報告したのが本書である。各土器によって、大きくひもづくり法と、敲打法の村に二分され、さらに、形態、文様、焼成、仕上げなどの手法が写真とともに詳しく比較されている。
SCENE! book 『GLASS & ART』No.10 1995年夏号 (抜粋)

民族芸術の宝庫でもあるパプア・ニューギニアのセピック河を中心とした、東はフィジー、西はパリまで東西6000キロに及ぶ広範な地域の中で、56地域ある土器村の半数余りを実際に訪れ、15ケ所以上で土器制作の工程を詳しく観察している。密林の奥にある村に、今も伝わる無数の精霊神話と素朴な土器が織り成す神秘の世界が多数の写真によって繰り広げられている。
BOOK REVIEW 月刊『オール関西』1995年2-3月号 (抜粋)

京都市立芸術大学に在学中の1969年、ニューギニアの美術調査隊に参加して以来、これまで十数回の調査を行い、南太平洋の土器をさまざまな角度からまとめた労作だ。
ゆうかん 文化 『京都新聞』夕刊 1994年12月26日 (抜粋)

そもそも土器とは何か、土器の土器たるゆえんは何かを明らかにするため、その造形性に注目して多数のカラー図版を選び出している。それらは日常の用に供する煮炊き用の鍋であったり、サゴヤシ澱粉を貯蔵する大壺であったり、仮面の土器であったりと種々変化に富んでいるが、いずれにも驚くほどの豊かな装飾が施されていて、頁を繰るたびに圧倒されてしまう。
BOOK 『ファーベル』No61 1995年 (抜粋)

染色家としても、抽象絵画に通じる世界を切り開いた福本さんは「土器と染色の仕事は、素材は違うけれど、どちらもつくっているときに完成品の状態を予測することができない。一発勝負の世界という共通点があるんですよ」という。精霊の宿る土器に福本さんがひかれるのも、よくわかる。
文化 私点「精霊の宿る土器」『産経新聞』夕刊  1994年12月22日 (抜粋)

造形の美、資料的価値はもちろん、やきものは陶芸家の作品、という観念をもちはじめた我々に、1万年来かわることなくヒモ作り、叩き作りで成形し、野焼きする主婦たちの姿は、鍋釜を自分で作る本来の暮らしを思いださせて新鮮でもある。
なごみライブラリィ 『なごみ』 1995年1月号 (抜粋)


著書 目次

南太平洋の土器文化

8

土器の造形

16

土器村をたずねて

33

神話のモチーフ ◆セピック河中流アイボム村

34

粘土とタブー ◆ユアト川ディミリ村

40

命をつなぐ土器 ◆サウォス地方カマンガヴィ村

46

精霊と土器 ◆ワシクク地方

50

ヤムイモ儀礼と彩文土器 ◆マプリク山地

54

男性が製作する土器 ◆ニューギニア東部内陸部ズミム村

58

孤島民の生活の糧 ◆アムフレット諸島

62

敲打法の土器村 ◆ニューギニア東部海岸

66

湖岸と海岸の土器村 ◆ニューギニア北部海岸

71

ひざの先でつくる土器 ◆ヴァヌアツウシ村

76

南太平洋最東端の土器村 ◆フィジー諸島

80

3つの土器村、3種の製作法 ◆インドネシアバリ島

84

土器村一覧表

88

地図

90

参照文献・所蔵および写真撮影

92

付記

94


著者海外調査歴(著書出版まで):

1969

ニューギニア(京都市立芸術大学ニューギニア未開美術調査隊)

1970〜71

ニューギニア、ミクロネシア

1971〜72

ニューギニア(国立民族学博物館収蔵美術資料収集)

1973

ニューギニア、ソロモン諸島、ニューヘブリディーズ諸島

1978

パプアニューギニア

パプアニューギニア(氷上町立植野記念美術館収蔵土器収集)、ソロモン諸島、ニューヘブリディーズ諸島、ニューカレドニア、フィジー、タヒチ、イースター島、ハワイ

1979

パプアニューギニア、イリアンジャヤ

1980

パプアニューギニア

1981

インドネシア(バリ島、チモール島、ロティ島)

中国(広州、桂林)

1982

インドネシア(ジャカルタ)

インド、ブータン

ソロモン諸島、ヴァヌアツ、フィジー、西部ポリネシア(じゅらく染織資料館収蔵タパ収集)

1983

アメリカ、ハワイ

1984

ハワイ

1985

欧州(パリ・ローマ)

1986

欧米(ニューヨーク、ロンドン、アムステルダム、ライデンなど)

1987

欧米(ニューヨーク、パリ、ローザンヌ、ジュネーブ、バーゼルなど)

1990

パプアニューギニア(滋賀県陶芸の森収蔵土器収集)、ソロモン諸島、ヴァヌアツ

1992

欧州(パリ、ローザンヌ、ジュネーブ、ワルシャワ、ウッジなど)

1993

インドネシア(ジャカルタ、ジョグジャカルタ)


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